南山生

学内のピッチコンテストやアジアの学生が集まる「ASEACCU学生会議」に積極的に挑戦!たくさんの経験を経て、「人のために」行動する大切さと尊さを学ぶ

理工学部 データサイエンス学科 3年
三ノ京 大翔さん(2025年4月取材)

「海外でデータサイエンティストとして働きたい」という志を持って、南山大学に入学した三ノ京さん。「NANZAN English Pitch Arena」や「ASEACCU学生会議」といった舞台でたくさんの人と交流する中で、少しずつ考えに変化が出てきたと話します。
今回は三ノ京さんに、ピッチコンテストや学生会議に参加した経緯や、それらの貴重な経験から学んだことについてお話を伺いました。

 

―まずは、「NANZAN English Pitch Arena」出場の経緯を教えてください。

私はE.S.S.というサークルのDebateセクションに所属しているのですが、そこの先輩に誘われたことがきっかけです。「孤独という問題を解決するために、誰もが気軽に通える居場所が必要だと思う」という話を聞き、すごく共感できる内容だったので、出場を決めました。「ビジネスアイデアを考えて英語で発表する」ことに興味を持ち、挑戦したいと思ったことも理由の一つです。

 

▲「NANZAN English Pitch Arena」にはE.S.S.サークルの先輩と出場し、「Global Women Fouders賞」を獲得

―「孤独」という問題に共感されたのはなぜでしょうか?

高校生の時に、私自身「孤独」を感じたことがあったのが理由です。
中学3年生から高校2年生まで、親の仕事の関係でタイに住んでいたのですが、あちらのインターナショナルスクールから日本の高校に転校する際に、編入試験や手続きなどで学校に通えない期間が2ヵ月ほどありました。タイの友人にも会えず、新しい友人を作る機会もない、さらに家族はまだタイに残っているという状態で、特に孤独を感じて辛かったのを覚えています。
そんな中で気分転換に白川郷へ足を運んだのですが、その時滞在したゲストハウスで友人ができたのがすごく楽しくて。ピッチコンテストに誘ってくれた先輩も、旅行先のゲストハウスで同じような経験をしていて、「そういった居場所を自分たちの手で作りたい!」と2人で意気投合しました。


―それで発表のテーマを「大学生・大人のいつでも通える居場所づくり」にされたんですね。このテーマで新しいビジネスアイデアを考える際、特に着目したのはどんな点ですか?

一番考えたのは、「気軽に来られるように」という部分です。そのためのコンセプトとして、温かい雰囲気を持つ「こたつ」を選び、チーム名も「こたつラウンジ」と名付けました。いろいろな人に来てもらうにはどんな場所に配置するのがいいのか、来るきっかけとなるイベントはどのようなものがいいのか――実際に意見を聞くことが必要と考えて、学生や社会人など、幅広い世代の方へのヒアリングを実施しました。
その中でも特に印象に残っているのが、STATION Aiで出会った起業家の方の「事業とは何かの問題を解決するための手段でしかない」という言葉。「こういう場所を作ろうと思っている」と話をした時に、私たちが抱えている「孤独」という問題を解決するための方法として、「居場所を作る」というのが最適解なのかと聞かれて、難しさを感じました。

 

▲「こたつラウンジ」を開催した時

―コンテスト当日はいかがでしたか?

何とか練習通りにやりきることができて、ピッチが終わった時にはとても安心しました。
また質疑応答で審査員の方の質問に答えることで、自分たちの思いをより深く伝えることができ、よかったと思います。

手応えを感じた一方で、「あの質問にはこう答えればよかったな」という部分もあります。それが「孤独を感じている人にとって、こたつラウンジのような場所に行くのはハードルが高いのではないか」という意見です。STATION Aiで指摘され、一番悩んでいた部分でもありました。
正直、私が考えていた孤独は「人と交流したいのに、環境的にそれができない」ことが原因のものだったので、そうではなくて、「そもそも人と交流することに抵抗がある人」のことまでは想像できていなくて…。こたつラウンジとしては、今は前者のような立場の人のための居場所になれたらと考えています。コンテスト後に実際にイベントも開催し、今も月1回のペースを目標に活動を続けているところです。


―「ASEACCU学生会議」についてもお伺いできたらと思います。応募のきっかけは何でしたか?

当時の指導教員だった佐々木美裕先生にご紹介いただいたのがきっかけです。1年次、アメリカのコロラド州に1ヵ月ほど留学したのですが、その時にも先生にお世話になっていて、そのご縁で声をかけていただきました。「東南アジアや東アジアの国から学生が集まって会議をする」と聞き、いろいろな国の学生が集まってどんな話をするのだろうと興味があったので、応募することにしました。将来は海外で働きたい私にとって、いろいろな国の文化や宗教観について考えを深められる絶好の機会だとも考えました。

 

▲アメリカ留学時に友人と

―参加するにあたって、事前にどのような準備をされましたか?

テーマが“What makes a Catholic University Catholic?” (カトリック大学がカトリックであるには)だったので、まずはカトリックについての知識を深めるために、本を読んで自分なりに学び、さらにキサラ学長に質問をする機会もいただきました。
カトリックは厳格な教えだという印象を持っていたのですが、学長とのお話の中で、現代の多くの人の価値観に合わせて適応していることを初めて知りました。
それに加えて、南山大学に理工学部ができた背景に「人々が過ごしやすくなるために人工知能や機械があり、必要なものだ」という考えがあると伺って、自分が学んでいることが「人のため」に繋がるのだと知る良い機会になりました。また、自分の宗教観について改めて考え、無宗教でありながらも神様の存在を信じていることに気づくことができたのもこの時です。


―実際に会議に参加して感じたことを教えてください。

午前中は代表者のスピーチやパネルディスカッション、座談会が行われ、午後はミサや美術館見学に行くなどして、他国の学生たちと交流を深めて過ごしました。

多くの学生のスピーチを聞き、彼ら全員に共通しているなと感じたのは、「人を助ける」という思いが根本にあるということです。特に印象的だったのがサービスラーニングに取り組んでいる学生のスピーチで、大学で学んでいることを実際に社会のために役立てる活動をしているそうなのですが、その背景には人助けへの強い思いがあると感じ、カトリックの隣人愛というものにとても感銘を受けました。

最初は「海外で働きたい」という目標のため、いろいろな国の学生と触れ合う中でその宗教観を学びたいと考えてこの学生会議に参加しましたが、今はそれだけではありません。親しくなった東ティモールの学生から「独立したばかりの新しい国だからこそ、自分たちの力でこれから良い国にしていきたい」という話を聞くなど、たくさんの人の価値観に触れて刺激を受ける中で、私自身も「人のために」という大きな視点で物事を考えられるようになったと思います。

 

▲「ASEACCU学生会議」に参加した際に東ティモールの友人たちと食事をしたとき

 

▲東ティモールの友人からもらったお土産とともに

―会議でたくさんの素晴らしい出会いがあったんですね!最後に、今後の目標や挑戦してみたいことについて教えていただけますか?

ピッチコンテストや学生会議での経験を経て、もともとあった「海外で働きたい」という目標に、「人のために」という大きな思いが加わりました。それを叶えるためにも、英語やデータサイエンスの勉強を頑張るだけでなく、いろいろな人と交流して多様な価値観や考え方に触れることも大切だと強く感じています。

そのためにも、こたつラウンジの活動やボランティアへの挑戦など、様々なことに積極的に取り組んでいくつもりです。また、今年の8月からアメリカのカリフォルニア州へ留学に行くことも決まっているので、勉強はもちろん、あちらでもこたつラウンジのような学生が交流できるイベントを開催できたらと考えてもいます。

学生のうちにたくさんのことを経験して、将来はデータサイエンティストとして、よりたくさんの人の役に立つ仕事を、世界を舞台にしていきたいです。

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