アパレル産業の問題やアップサイクルに興味を抱いて一念発起!「南山大学エコファッション」を立ち上げ、学内外で様々なイベントを行う
総合政策学部 総合政策学科 3年
横山 茜さん(2025年4月取材)
昨今のファストファッションの大量生産・消費に疑念を抱き、何とか現状を打破したいと有志団体「南山大学エコファッション」を設立した横山さん。2024年度の南山チャレンジプロジェクトに見事採択され、数々のイベントを企画・運営してきたそうです。
今回は横山さんに、団体設立の経緯や思い、イベントで感じたやりがいなどについてお話を伺いました。

―最初に、「南山大学エコファッション」設立の経緯を教えてください。
アパレル業界の問題に疑問を抱いたことがきっかけです。ファストファッションの流行により出た大量の古着が発展途上国の埋め立て地に捨てられている問題や、バングラデシュでのラナ・プラザの崩落事故を知り、「何とかしなければ」と考えるようになりました。大学生という、ファッションを一番楽しめる時期を過ごす1人として、身に着けるものがどんな物語を持っているのかを同世代に発信したいと思ったことも大きいです。
他大学の友人に「こんな活動をしてみたい」と相談していた時に、大学内に学生の活動を支援するプロジェクトがあることを知り、「南山チャレンジプロジェクト」の採択を目指して1年生の冬頃に団体を設立しました。周りの友人に声を掛けたら、ありがたいことにみんなが協力してくれて、すぐに15人ほどのメンバーが集まりました。ファッションに興味があるのはもちろん、環境問題に関心を持っている学生も多く、清掃活動などにも精力的に取り組んでいます。

▲「南山チャレンジプロジェクト」採択式

▲「南山大学エコファッション」のメンバーと(後列右から4人目が横山さん)
―団体として、普段どのような活動をされているのですか?
いらなくなった洋服や物からアップサイクル衣装を制作してイベントを行うことで、環境問題やアパレル業界に隠れた社会問題などを世界に発信することを目指して活動しています。具体的には、学内外でファッションショーやワークショップなどのイベントを企画・運営したり、清掃活動やビラ配りを行ったりですね。今は4月に名古屋・栄で開催されるイベント「循環フェス名古屋」の準備に取り組んでいます。
「南山生にアップサイクルを知ってもらう」ことを目標の一つに活動してきたのですが、1年弱の期間で認知度を約15%から55%まで上げることができたんです。自分たちの活動がこういった結果に繋がって、やってきてよかったと思いました。

▲アップサイクル衣装の制作

▲アップサイクル衣装の制作
―イベントなどを積極的に行う一方で、SNSでの広報にも力を入れてきたと伺いました。そういった活動も認知度を上げることに繋がったんでしょうか?
頑張ってきたところでもあるので、そうだと嬉しいです。SNSは友達のアカウントをチェックするような、気軽な感覚で見てもらいたいと思っていて。イベントの告知や活動の報告だけでなく、ファッションチェックを多めに投稿するなど、より身近なものになるよう、担当者と相談しながら日々投稿しています。
―そもそも「アップサイクル」に興味を持つようになったのはいつ頃ですか?
1年生の夏頃からですね。総合政策学部の藤本先生が行っている「ベトナムマングローブ植林プログラム」に参加した時に、とあるアーティストの方と知り合ったんです。廃棄された漁網をアップサイクルする活動に取り組んでいると知って、お話を伺ううちに、洋服をアップサイクルすることで「モノの寿命を伸ばす」ことができるのではと考えるようになりました。

▲「ベトナムマングローブ植林プログラム」で現地の学生と
―団体として参加した最初の大きなイベントが2024年9月の「環境デーなごや」だったそうですが、周りの反応などはいかがでしたか?
認定NPO法人中部リサイクル運動市民の会とのご縁で参加することになり、私たちはアップサイクル衣装の展示、チラシ配布やブース装飾を担当しました。古着から作ったバッグを褒めてもらうなど、実際に訪れたお客さんから好意的な反応をたくさんいただき、とてもうれしかったのを覚えています。
今、準備を進めている「循環フェス名古屋」の話が出たのも実はこの時。中部リサイクル運 動市民の会の方と「一緒に盛り上げていこう!」と意気投合して、開催に向けて動き出しました。

▲中部リサイクル運動市民の会の皆さんと
―「循環フェス名古屋」ではどんなことをされる予定なんですか?
「循環フェス」は「新しい古着の循環の仕組みをZ世代と共に広げよう」と京都で始まったイベントで、それを全国に拡大しようと、今春名古屋でも開催することになりました。ステージイベントのほか、フリーマーケットやワークショップなどが予定されています。私たち「南山大学エコファッション」はSNSや総合司会、DJ、ファッションショーやダンスパフォーマンス、ブース運営を担当!各グループに分かれて準備しているところです。「もっと若い世代にエシカルを身近に感じてもらう」ことを目標に頑張っています。

▲「循環フェス名古屋」への出展
―盛り上がりそうなイベントですね!南山大学の大学祭でも、ファッションショーやワークショップイベントを行ったそうですが、お話を聞かせていただけますか?
「南山大学エコファッション」の活動の集大成でもあるアップサイクルファッションショーと、ワークショップ、フリーマーケットを行いました。メインステージの使用時間の確保をはじめ、大変なこともたくさんありましたが、メンバーに助けてもらいながら、なんとか最後までやり遂げることができました。
ファッションショーでは、ネクタイや傘の布で作ったドレス、ジーンズをトップスにアレンジしたものなど10着の衣装をモデルに着てもらい、「どんな意図や思いでこの洋服を作ったのか」を丁寧に伝えました。一方ブースでは、端切れを使ってモデルのミニ衣装をデザインするワークショップやフリーマーケットを企画。子どもから大人まで、たくさんの人が自由な発想で楽しんでくれているのを見て、とてもうれしかったですね。
環境系の団体ということもあって、「意識が高い、難しいことをしているのではないか」と思われてしまうことが多かったのですが、大学祭を通じて、もっと身近なところで活動していることを伝えられたのではないかなと思います。

▲ネクタイや傘の布で作ったドレス

▲大学祭でのファッションショー

▲端切れを使ってモデルのミニ衣装をデザインし、本のしおりにするワークショップ
―最後に、これからの「南山大学エコファッション」での目標について教えてください。
最近、「エコ」「エシカル」という言葉について、ようやく浸透してきたなと感じていますが、それを実行に移せているかと聞かれたらまだまだできていなくて…。例えばマイボトル一つとっても、コーヒーショップに行く時にわざわざ持参する人ってそれほど多くはないですよね。そうではなくて、例えば食事をするお店を探す時に地産地消を意識してみたり、新しい洋服を買う前に手持ちの服をアップサイクルできないか考えてみたりと、少しでも地球にやさしい、エコな選択肢を選んでみようかなと考えられる社会になればと願っています。「南山大学エコファッション」として、そのための手伝いやアイデアを共有できるよう、頑張っていきたいです。