南山生

インラインスケートの日本代表選手として、さまざまな大会で活躍!一番身近なライバルと互いに切磋琢磨し、大きく成長する

理工学部 機械システム工学科 3年/理工学部 電子情報工学科 3年
小林 慈侑さん/小林 慈怜さん(2024年11月取材)

小学3年生の時に始めたインラインスケートで、日本代表として数々の国際大会に出場するなど、世界レベルでの活躍をみせる小林慈侑さんと慈怜さん。お互いの良いところを認め合い、ライバルとして切磋琢磨しながら、技と技術を磨いてきました。また中学からはテニス部にも所属、さらには学業も手を抜くことなく、日夜努力しているそうです。
今回は慈侑さんと慈怜さんに、インラインスケートへの思いや大学生活、今後の目標について伺いました。

 

―まずは、インラインスケートを始めたきっかけや魅力を教えてください。

慈侑
小学3年生のころ、家族でできるスポーツを探して、公園のスケート場に行ったのが最初です。たまたまその場に全日本チャンピオンがいて―後のコーチなのですが―、その方に教えてもらったのをきっかけに、インラインスケートを競技として頑張ろうと決めました。マイナーなスポーツだからこそ正解がなく、努力した分だけ結果が出るところに魅力を感じました。

慈怜
スピンやジャンプ、スピードなどいろいろな技や滑り方があって、地道に練習を重ねて、新しい技ができたときの達成感は何物にも代えがたいですね。習得したい技や滑り方がまだまだたくさんあって、そこに挑戦するのが楽しいです。今も、慈侑と一緒に新しい技を練習中なのですが、先を越されそうなのでちょっと焦っています(笑)。

 

―新しい技の習得など、上達するためにどんなことを意識しながら練習されているのですか?

慈侑
平日は家の中でできる基礎練習を行い、休日は体育館を借りて、インラインスケート協会の人たちと練習に取り組んでいます。国内外のライバル選手たちに比べて、なかなか練習時間がとれない分、基礎やフォームを意識した練習を心掛けています。

慈怜
僕は上手な人のスケーティングの癖を盗んで、自分に取り入れることを意識的にやっています。特に、日本人と体格が似ている中国のトップ選手の動画をチェックすることが多いですね。

慈侑
あとは日常的に、フォームの改善点などをお互いにアドバイスしたりもしています。指摘されて正直腹が立ってしまうこともあるんですが(笑)、言われたことはとりあえず試してみると決めていて、後から「ああ、そういう見方もあったんだな」と納得することも多いです。

慈怜
僕も同じで、言われて悔しい気持ちはありますが、客観的に見てアドバイスをくれているので、そこはきちんと落とし込まないといけないなと思っています。

 

―ほかにも、「双子で同じ競技をやっていてよかった」と思うことはありますか?

慈怜
僕は慈侑がいなかったら、こんなにも長い間、競技を続けてこられなかったと思います。モチベーションを維持するのが難しくて、1年に1回、国際大会に出場するなどして気持ちを奮い立たせてきたんですけど、どうしてもやる気が出ない時もあって。そういう時、いつも慈侑に発破をかけてもらってきた感じです。日本一を狙って競い合えるライバルが近くにいることも、自分自身の成長に大きくつながっています。

慈侑
僕はインラインスケートが大好きで、モチベーションが下がることはあまりないんですが、それでも慈怜がいなかったら、ここまで続けてはこられなかったと思います。日本ではマイナーなスポーツで競技人口も少ない分、身近なところに年齢もレベルも同じライバルがいたというのは大きいです。あとは双子のスケーターは珍しいので、いろいろな人に覚えてもらえるのもよかったなと。

 

―インラインスケートにはスピードやクラシック、ペアなど、いろいろな種目があると伺いました。一番面白いと思う種目とその理由も教えていただけますか?

慈侑
僕はスピードスラロームです。理由は努力の結果が最速で現れる競技だから。速い選手だと4秒で終わる競技で、その短い時間にすべてをかけて競い合うのが魅力だと感じています。僕自身も、周りの人にたくさん支えてもらって練習を重ね、2024年の全日本選手権の予選・決勝タイムの両方で日本新記録を達成するという結果を残すこともできました。圧倒的なスピードとスケーティングスキルを武器に、これからも上を目指して努力を重ねていきたいです。

慈怜
僕は、双子ならではの息の合った個性的なスケーティングを披露できるペアスラロームが一番面白いですね。3分間の曲に合わせて、技やスケーティングを指先からつま先まで合わせることは難しいのですが、演技が完成して、会場の雰囲気を自分色に変えられた時は大きな達成感を感じます。衣装や振り付けにも徹底的にこだわっていて、「周りを楽しませよう」という思いは、僕たちが一番強いと自負しています。 

 

―インラインスケートでの頑張りが認められて、学部長表彰や奨励奨学金の授与も受けられたそうですね。

慈怜
はい。大学に自分たちが頑張ってきたことを認めていただけて、とても光栄で励みになりました。

慈侑
僕も同じで、小中高とたくさんの人に応援してもらったんですけど、こういった大きな規模で表彰していただけたのは初めてで、とてもうれしかったのを覚えています。

 

▲奨励奨学金の授与式にて(左:慈怜さん、中央:吉田学生部長、右:慈侑さん)

―そもそも、スポーツに力を入れている大学がほかにもある中で、なぜ南山大学に進学しようと思われたのでしょう?

慈怜
僕は志望した高校に行けず悔しい思いをして、大学はいいところにいって見返したいという気持ちがあったので、高校1年生の時には南山大学に行こうと決めていました。スポーツだけでなく、学業にも力を入れている大学で頑張りたかったというのも大きいです。

慈侑
幼い頃から漠然とした憧れがあり、詳しく調べていく中で、スポーツも頑張っている大学だと知って志望しました。隣で慈怜が頑張っているのを見ていたので、「僕もしっかり勉強しよう」と刺激を受けていました。

 

▲本学硬式庭球部男子3年生のメンバーと(左から3番目:慈怜さん、右から2番目:慈侑さん)

―大学では、硬式庭球部にも所属されているのですよね。インラインスケートとテニス、学業を両立するために、工夫していることがあれば教えてください。

慈侑
目標と実行への向き合い方を常に意識していて、最初に大きな目標を立て、それを細分化して計画を立てるようにしています。もちろん計画通りにいくとは限らないので、予定外のことが起きた時にどうリカバリーするかも考え、確実に実行することで両立できるように努めてきました。

慈怜
限られた時間の中でそれぞれに目標を立て、そこに向かって短い隙間時間もしっかりと活用し、集中して取り組むことですね。大学生活で、スケートでは「国際大会の表彰台に立つ」、テニスでは「本選出場」を目標にして、実際にその両方を達成することができました。

 

―最後に、今後の目標について教えてください。

慈侑
今年の世界大会では悔しい結果に終わってしまったので、次こそは自身の持つ日本新記録を更新して、世界大会でメダルを獲りたいと思っています。
卒業後は、仕事をしながらだと難しいかもしれませんが、できるだけ競技を続けつつ、後輩への指導にも携わっていきたいです。

慈怜
大学生活ラスト1年、必ず日本代表になって、世界大会で結果を残すこと―これが今の目標です。あとは慈侑と同じく、後輩を指導する立場になって、今まで僕たちが大切にしてきたことを伝えていきたいなと思っています。

 

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