授業の一環でブラック校則をテーマにお笑い芸人へ取材 中日新聞に掲載
総合政策学部 総合政策学科 4年
日榮 瑞希さん(2021年5月取材)
総合政策学科で実施しているオムニバス形式の講義「政策の現場からB 新聞作りの現場から(実践編)」の一環で、お笑い芸人バッドボーイズの佐田さんへ「ブラック校則」をテーマにインタビュー取材を行なった日榮さん。新聞記者の元で記事制作のプロセスを経験する中で感じたことや、学生生活の中で興味を持った「社会課題」について教えてもらいました。
※この記事は、中日新聞社の許諾を得て転載しています。
ーまずは、日榮さんが「政策の現場からB 新聞作りの現場から(実践編)」を選んだ理由を教えてください。
1年生の頃に「マスメディア論※1」という授業で、テレビにおける報道のあり方を学んで興味を持ち、今度は記者が情報をどのように集め取捨選択しているかといった情報発信者側の意識が知りたいと思ってこの授業を選びました。
ー実際に取材をし、新聞掲載に至った経緯は?
課題の一つで、新聞の企画を提出する機会がありました。参加者は各々がテーマ選定からインタビュー候補まで考えて、企画が通れば実際に取材をして「中日新聞」の記事として掲載されるとのことだったのですが、私の選んだテーマ「ブラック校則」が、社会的に重要なテーマだと判断いただき選んでいただいたようです。
*ブラック校則とは…一般社会から見ておかしい校則、合理性のない学校規則、学校独自ルールなどの総称
ー取材テーマを「ブラック校則」にしたのはなぜですか?
実際に、私自身も学校生活の「理不尽」を経験したことがあったので、同じような理不尽な経験をする生徒が一人でも減ってほしいと思ったからです。学校は閉鎖的で変化を嫌う傾向があるように感じていましたし。
ー日榮さんご自身が経験した「理不尽」とは?
高校時代に「制服の下のカーディガンが指定のものではない」との理由で没収されたことがありました。理由を先生に聞いても「ルールだから」と言われましたね。私は反抗的なタイプでもないですし、理不尽と思いながらも、内申点や先生の評価も気にしてしぶしぶ受け入れていました。
ー真面目な日榮さんが、暴走族出身のお笑い芸人の佐田さんを取材対象に選んだのは、意外な気もしますが。もしかして、お笑い好き?
お笑いは好きですね…(笑)
でも佐田さんにお願いしたのは、今まで校則に縛られていた人の意見よりも、校則を破っていた人の意見を聞いた方が良いと思ったからです。きっと「賛成」か「反対」のどちらかの意見をはっきりくださると思って。
でも、実際に佐田さんに話を伺うと想定外の答えが返ってきました。
「周りにいろいろ言われても貫き通す覚悟があるなら校則を守る必要はなく、面倒だと感じるなら守ればいいだけ」とおっしゃったんです。
自分の考えを大切にすることができていれば「どちらでもよい」との考えは面白いなと思いました。人それぞれ考え方や価値観が異なるのは当然だし、正解なんてものは当然ない。だからこそ多様な価値観を前提として友人関係、仕事、家族などあらゆる面で互いの意見や意思を尊重して生活していきたいと思いました。
ー取材は緊張しました?プロの記者との仕事はどうでしたか?
オンラインインタビューでしたが、芸能人の方と話すのも初めてで、すごく緊張しました。対面だったら上手く話せなかったかもしれません…
記者の方が、取材対象者についての情報を事前にしっかり調べていたことには驚きました。佐田さんの自伝小説を事前に読み込んでいて、あらゆるページに細かいメモが貼ってあり、それを切り口に相手の懐に入って話を引き出していく様子に、プロの仕事を感じました。貴重な経験でした。
ー今回の講義では「社会課題」がテーマになりましたが、普段はどのようなことをテーマに学んでいるのでしょうか?
入学した頃は、特に地球温暖化に興味があって「環境学」を学んでいたのですが、2年生の頃に「環境経営学」を専門とする鶴見先生※2に出会い、企業が環境保全に取り組むことで売上アップにもつながるなどの企業戦略の方が面白くなり、現在は主に「経営論」に興味があります。
私は飽き性なので、興味の対象がコロコロ変わるのですが、総合政策学部は、自分の好きなテーマをどんどん探求して、さらに発展して新しい分野を学んでいけるので適していたと思います。
ー「社会課題」への意識、キャッチ力などが上がっていると思うことはあります?
視野は広がったと思います。私は居酒屋でアルバイトをしているのですが、お客さんが食事を残されたりすると、国際的に問題になっているフードロスの課題を身近に感じます。スーパーで買い物をしている時も、フェアトレードの商品に気づいて買ってみたり、講義を受ける前には考えなかったことに気づく機会が増えました。
ー今最も興味のあることは何ですか?
現在は「国際経営論」のゼミ※3に所属していて、「IoTデバイスを活用した社会課題の解決」をテーマに卒論を書いてます。
ーえっと…IoTデバイスとはどんなものでしたっけ?
インターネットを介してヒトとモノを繋ぐ端末です。AlexaやApple Watchなんかもその一つで、いわゆるスマート家電をイメージしていただければ良いと思います。この技術を活用すれば、例えば介護業界の人手不足についても解消できると思うのです。介護施設や病院での監視管理にIoTデバイスの技術を使い、夜間見回りの負担を軽減できるのではないかというような考えです。最終的には多国籍企業にデバイスを販売することで、国際的なシェアを取ることができるという提言まで行えたらと思っています。
ー卒業後のビジョンはありますか?
実は、情報通信の企業に就職することに決めました。IoTや通信技術を用いて、今までにない価値を提供できる点に魅力を感じています。今後は、企業が抱える問題や社会課題を、通信という先進的な技術を用いて解決し、便利で暮らしやすい社会の実現に貢献したいです。
※1 マスメディア論
「実際にテレビ局に足を運び、スタジオ見学や、現役アナウンサーによる話し方のレッスンを受けたのが印象的でした。」と話してくれました。
※2 鶴見哲也先生
総合政策学部准教授。専門は、環境経済学。主な担当科目は、「環境経済学」、「生命と環境(経済と環境問題)」、「経済政策論」他 南山の先生 https://www.nanzan-u.ac.jp/nanzan_faculty/fop/pp/012444.html
※3 金綱ゼミ
金綱基志先生。南山の先生 https://www.nanzan-u.ac.jp/nanzan_faculty/fop/pp/012432.html