南山生

世界スカウト機構主催の「世界スカウトユースフォーラム」「世界スカウト会議」に日本代表として参加

国際教養学部 国際教養学科 2年
小池 さくらさん(2021年10月取材)

世界スカウト機構が3年ごとに開催する「世界スカウトユースフォーラム」と「世界スカウト会議」に、日本の正代表として参加した小池さん。特に、世界各国・地域連盟に所属するユース世代(18歳~25歳)の代表たちと意見交換や討議を行う「世界スカウトユースフォーラム」では、たくさんのことを経験し、学んだそうです。
今回は小池さんに、これらの活動を通して感じたことや今後の目標について伺いました。

 

―まずは、「世界スカウトユースフォーラム」の日本代表に選ばれた経緯を教えてください。

父がボーイスカウトをやっていた影響で、私自身も小学校4年生の頃からスカウト活動に参加しています。活動を行っていく中で青年参画に対する課題意識を持つようになり、日本代表メンバーの選考に応募しました。

―どのような部分で課題意識を持つようになったんですか?

ボーイスカウトの活動の中で、県などから連盟に委託されて行う事業というものがあります。成人指導者の方たちが中心になって運営を行い、私たちユース世代も一員として参加するのですが、どうしても受け身になってしまうことが多くて…。「もっと主体的に関わっていくにはどうしたらいいか」を考えるうちに、青年参画のレベルアップを意識するようになりました。

青年参画は近年世界レベルでも重要視されているトピックなので、フォーラムに参加することで、国内での実現のヒントを探しに行きたいと思ったんです。

 

スカウト活動(防災イベント)の様子

―実際にフォーラムに参加してみていかがでしたか?

世界各国のスカウトで構成された少人数グループ(International team)の仲間と話し合い、世界スカウト会議の議案書やフォーラム宣言文への修正案を作成したり、ユースの代表であるユースアドバイザーを選挙で決めたりしたのですが、とにかくメンバーの熱意と主体性に圧倒されました。

他国のスカウトはみんな自分の国のスカウティングの課題や現状をしっかりと把握し、その解決に努めようという姿勢があって…青年参画のための意思決定には、「自分たちが作っていくんだ」というスカウト自身の主体性が最も重要なんだなと実感しました。

 
 

チームメンバーと

―特に印象深かった出来事を教えてください。

ユースアドバイザー(以下YA)の選挙です。YAはユースの代表として、世界スカウト委員会で意見を述べることができるため、YA選挙は世界規模の青年参画の場として知られています。18名の立候補者に対して各国の派遣団が6票ずつ投じ、上位6名が正式なYAとして選出されるのですが、そこで1票の重みを強く感じる出来事がありました。日本代表がどちらにも投票した6位と7位の差が、わずか1票だったんです。もし6位の人ではなく別の候補者に入れていたら2人は同じ票数になっていたので、結果も違っていたと思います。そう考えると、ちょっと震えますよね(笑)。自分達が投じる一票の重みと責任を実感する機会となりました。

―大変だったこと、苦労した点を教えてください。

1番は言葉の壁ですね。今回は国際交流だけでなく、スカウティングをより良くしていくための“議論”を中心としていたので、日常会話以上の英語力が必要でした。

―確かに、言語の壁は大きいですよね。どうやってクリアしたのですか?

International teamのメンバーのサポートが大きかったです。私の英語が拙かったからか気にかけてくれて、ゆっくり丁寧に説明しながら議論を進めてくれたので、なんとかついていくことができました。「みんなで話し合っていこうね」という雰囲気もあって、たとえ片言でも、自分の言葉で意見が伝えられたのもありがたかったですね。

この経験を通じて、自分の意見に耳を傾けてもらえることが本人の主体性を引き出す“きっかけ”になると気づけたのもよかったです。

―「意見に耳を傾けてもらえる」ことも、一つのきっかけになるのですね。

はい。もちろん、主体性を出せるかどうかは本人次第の部分もあるのですが、自分の意見を伝えられる場所や雰囲気を作っていくことも大切なんだと思いました。青年参画とも密接に関係する部分なので、そのヒントを得られたという面でも大きな収穫でした。

―「世界スカウト会議」にも参加されたと伺いましたが、そちらはいかがでしたか?

世界スカウト会議は基本的に、成人以上の各国連盟役員の方たちが出席されます。今回私はオブザーバーとしての参加でしたが、フォーラムで作り上げた自分たちの考えが実際に会議で承認されていく様を目の当たりにして、「自分たちが主体的に関わることで、少しずつ世界を変えていけるのかもしれない」という可能性を感じました。

 

今回の活動の報告発表の様子

―貴重な経験ですね。最後に、今後の目標や将来のビジョンを教えてください。

今後は、日本国内での青年参画の実現に向けて働きかけていきたいと考えています。青年参画の実現には、スカウト自身の主体性はもちろん、サポートしてくれる成人指導者や県連盟の役員からの理解、組織の仕組みが必要です。そのために、日本連盟や各県に所属する団体、ユース世代の組織に向けて積極的に働きかけ、相互的なアプローチで青年参画の実現を試みたいですね。

さらに将来的には、人と関わりながらいろいろな課題を解決し、社会に貢献できる人になりたいです。学部で国際的な問題について幅広く学んでいるのですが、自分の意見をただ主張するのではなく、相手の意見に耳を傾けて一緒に解決を目指すのが重要だなと実感していて。ボーイスカウトの活動と共通する部分も大きいので、これらの経験や学びを、自分自身の将来のためにもしっかりと生かしていきたいと思います。

次の記事を見る