南山生

台湾の“素食”と環境問題をテーマにした作文で、「第18回 日台文化交流青少年スカラシップ2021」作文部門 優秀賞を受賞!

外国語学部 アジア学科 4年
野口 祈桜さん(2021年10月取材)

産経新聞社主催、台北駐日経済文化代表処共催の「第18回 日台文化交流青少年スカラシップ2021」作文部門に応募し、「作文部門」「スピーチ部門」あわせて応募総数388点の中から、見事優秀賞に選ばれた野口さん。台湾でのインターンシップの経験を作文『素食との出会いと環境問題』としてまとめたそうです。今回は野口さんに、台湾の素食文化に触れて感じたり、刺激を受けたりしたことについて伺いました。

 

―まず、台湾の文化に興味を持つようになったきっかけを教えてください。

初めて台湾を訪れたのは大学2年生のとき。海外フィールドワークの授業で3週間、協定校の輔仁大学へ行きました。午前中は中国語の授業を受けて、午後はそれぞれ興味のあることを調べて、最終的に発表する―という内容です。私は食文化について調べたのですが、輔仁大学の学生がとても親切で、いろいろな観光地や夜市を案内してくれました。特に印象に残っているのが士林夜市。台北で一番大きな観光夜市で、ものすごい活気に圧倒されたのを覚えています。

あとはインターンシップで3か月ほど台湾に住んでいたのですが、その時の経験も大きいですね。気が付いたら、台湾の食文化が大好きになっていました。

 

海外フィールドワーク中に特に印象に残った士林夜市

―台湾でのインターンシップでは、どんなお仕事をされたのですか?

台北にあるゲストハウス兼レンタルスペースで3か月間働きました。大学で3年間中国語を勉強する中で「もっとコミュニケーションの場で使えるようになりたい!」と思うようになって。それには働きながら勉強するのが一番かなと、思い切って行ってきました。ゲストハウスを選んだのは、もともと異文化との交流に興味があったのが大きいですね。インターンシップに来ていたのは日本人と台湾人だけでしたが、お客さんでいろいろな国の方が来ていて刺激的でした。

私が担当した業務は主にSNSマーケティングです。TwitterとInstagram、Facebook、ブログの4つのアカウントがあったので、それらの運用ですね。観光地や屋台に行って投稿用の写真を撮ったり、時にはお店の方にインタビューしてみたり。4つもあるので、業務外の時間にも「次は何を投稿しようかな」と考えていて…常に追われている感じでした(笑)。

 

インターンシップ先のゲストハウスに宿泊されたゲストの方と

―4つはすごいですね!語学力もぐんと伸びそうな気がします。

はい。宣伝文というか、キャッチーにお店のことを伝える文章って、教科書のものとは全然違ってくるんですよね。なので、書店に行ってグルメガイドを読んで参考にするなど、自分なりに試行錯誤して取り組んでいました。

私が投稿した記事を見て、宿泊していたゲストの方がその飲食店に足を運んでくれたこともありました。「これを見て行ってきたよ」と声をかけてもらえた時は、とてもうれしかったですね。

 

旧正月のお祭りで

―ゲストの方と交流する機会は多かったのですか?

そうですね。実は台湾の素食(ベジタリアン食)文化に興味を持ったのも、ゲストの方に連れて行ってもらったのがきっかけ。台湾は人口の1割以上がベジタリアンの国で、街の至る所に“素食”の文字があるため存在は知っていたのですが、実際に食べたことはなかったんです。台湾の素食って、肉・魚料理の再現度がすごく高いんですよ。私が初めて食べたのはお刺身で、「ベジタリアンのお刺身って何だろう?」と半信半疑で口にしたのですが、見た目も食感も味わいもそっくりで衝撃を受けました。

―そこから環境問題に興味を持つようになったのはなぜですか?

素食レストランで食事するときに、まさに食品ロスなどの環境問題が話題に上がることが多くて―例えば、お肉は温室効果ガス排出や森林伐採、水質汚染などの問題と深く関係しているとか。普段何気なく口にする食べ物がどれだけ環境に負荷を与えているのかを知って、そこから自分自身の“食”を見つめ直すようになりました。

環境負荷の高いお肉や魚を食べられないとなると、否定的になってしまう人もたくさんいると思います。でも私は台湾の素食と出会い、決して美味しさを我慢する必要はないんだなと気づきました。「環境に配慮しつつ、美味しさも追及する」そんな食の在り方を私たちは創っていける世代なのではないかと思います。

―台湾でそれほど素食文化が身近なものだとは知りませんでした。

そうですよね。タピオカは日本でも流行しているけれど、素食文化はほとんど知られていなくて。もっと多くの人に素食について知ってほしい、環境問題について考えてほしいと考えて「日台文化交流青少年スカラシップ」にも応募しました。卒業論文でも、日本が素食フレンドリーな国になるために何が必要なのかをテーマに取り組んでいます。

―最後に、これから挑戦していきたいことについて教えてください。

同年代の若い人たちに、エシカル消費や菜食をもっと身近なものとして捉えてほしくて、友人と一緒にSNSで発信を行っています。SDGsや環境問題って、自分とは関係ないと思ってしまったり、難しく考えすぎて一歩踏み出しづらかったりする人も多いと思うんです。けれど、私が環境問題に興味を持ったきっかけが食だったように、おしゃれなマイボトルやエシカルファッションが入口になる人もいるかもしれない―そんな風に、誰かにとっての“きっかけ”を作っていけたらうれしいですね。

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