南山生

「第21回 全国学生対抗円ダービー」で「ユニーク賞」を受賞。予想順位も380チーム中4位となる快挙を達成!

経済学部 経済学科 3年
堀場 友歌さん(2021年10月取材)

日本経済新聞社主催の「第21回 全国学生対抗円ダービー」に出場し、最優秀賞にあたる「ユニーク賞」を受賞した堀場さん。コロナ渦禍で広がる米国内の格差問題に着目し、予想順位でも4位という好成績を残しました。
今回は堀場さんに、円・ドル相場の予想を行うにあたって試行錯誤したことや、学生生活について伺いました。

 

―まずは、「全国学生対抗円ダービー」出場の経緯を教えてください。

円ダービーのことを知ったのはゼミのガイダンスがきっかけです。もともと経済学の実証分野には興味があって…学部の講義では理論分野を中心に学んでいたのですが、履修が進むにつれて、「自分がいま学んでいる方法論は、実際の暮らしやビジネスにどう生かせるのか?」を考えることが増えてきていたんです。なので、円ダービーを通じて、自分が学んできたことと現実社会とのつながりが実感できればと思い、挑戦することにしました。

 

受賞したゼミの皆さんと(前列左から3人目が堀場さん)

―円・ドル相場の予想を行うプロセスは、どのようにして決めていったのですか?

ゼミの中でチーム分けをすることからスタートしました。オリンピック、ワクチン、コロナ全般の3つにざっくりとテーマを分けて、それぞれ興味のあるものを選んだのですが、6月・7月の為替相場を予想するのにコロナの影響は絶対に外せないと思い、コロナ全般を選びました。

その後は現在の市況や経済界のトレンドを把握するため、メンバー全員で各社新聞を毎日欠かさず購読し、繰り返し出てくるようなトピックや単語をひたすらピックアップしました。

 

チームメンバーと一緒に(中央が堀場さん)

―その中で、米国内の格差問題に着眼したのですね。

そうですね。たくさんのニュース記事をチェックしていたのですが、米国の影響力の大きさは無視できないと思い、特に注目するようにしていました。着眼のきっかけは、バイデン大統領による富裕税増税政策のニュース記事。長引くコロナ禍で先行きの芳しくないニュースが溢れる一方で、AmazonやZoomといったIT・ハイテク系の株価が連日高値を更新していたのが、全体的な世界経済の動きと逆行しているようで印象的だったんです。そこでコロナ禍で広がる米国内の格差問題に着眼し、政策による米国上位400人の資産額の変動が為替相場に与える影響を13年にわたるデータで分析しました。

―13年! 膨大なデータ量ですね。予想の精度を高めるために、具体的にどのような工夫をされたんですか?

特に注力した点が2つあって、1つ目が堅実な指標との平均値をとることです。例えば、資産家のデータは年次データだったので、精度面でやや弱いという弱点があったのですが、日次データである株価を用いることで、長期データでは捉えきれない短期的な変動を予測に含めるなどしました。

もう1つは、相場の変動やニュースを毎日チェックして、市況に合わせた修正をその都度行った点。自分たちが選んだテーマに不利な内容だったとしても、現実の市況を正確に反映させたかったので、細かいことでも惜しまず行いました。特に印象に残っているのが、6月の時点では分析に反映させていたバイデン大統領のインフラ投資計画を、7月に思い切って削除したこと。途中で投資額減額のニュースが出たのが理由なのですが、私が担当した部分だったのもあって、正直かなり勇気がいりましたね(笑)。

―その“思い切り”が予想順位で4位という結果につながったんですね。

はい! 実は削除するか、そのまま残すかで迷っていた時に、ゼミの稲垣先生に相談する機会があって…あの時真摯に向き合っていただいたおかげで、思い切ることができたなと思います。それ以外にも、ほぼ毎日の頻度で質問をしていたんですが、毎回質問した以上に中身の濃いメールをいただいて、知識だけでなく精神的な面でも支えになっていました。

―学部では、普段はどんな勉強をしているんでしょうか?

貿易における国際通商システムに興味があって、国際金融論や国際経済政策論などを中心に学んでいます。また、就職活動を通して労働経済学にも興味が出てきたところです。

入学前は「経済学=数字やデータを用いた無機質な学問」というイメージだったのですが、学ぶ中で大きく変わってきていて。人々の満足度である「効用」やインセンティブに基づいて考える、当事者目線の面白い学問だと実感しています。

―その“面白い学問”を習得するため、授業に取り組む際に心掛けていることを教えてください。

必ずノートをとることですね。私の場合、配布資料を読んだり話を聞いたりするだけでは、なかなか頭に入ってこなくて、内容を整理するためにも、板書というプロセスは欠かせないんです。

ありがたいなと思っているのが、コロナ禍でオンラインの授業がほとんどという中、先生方がオンデマンドではなく、ライブで授業を行ってくださること。熱意がしっかりと伝わってくるので、こちらも頑張らなきゃ!という気持ちになりますし、リアルタイムで質問できるのもうれしいですね。自分が動けばぐんぐん知識を吸収できる環境が整っているので、頑張り甲斐があるなと感じています。

 

堀場さんが取っているミクロ経済学の授業ノート

―素晴らしいですね! 最後に、将来のビジョンを教えてくれますか?

大学で学んだ知識を有効に生かせる仕事に就きたいと考えています。今興味があるのは、エネルギーや商社、メーカーといった業界。経済学を通して学んだ「当事者目線で考える」という視点を生かして、世の中に付加価値を生み出すような仕事がしたいです。

円ダービーを通じて、情報を一つひとつ分析して根拠づける力が身に着いたなと実感しているので、どんな仕事に就くとしても、しっかりと意識して続けていきたいと思っています。

 

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