南山生

[国際教養学部学生インタビュー]在学生が語る国際教養学部

国際教養学部国際教養学科4年
宮嶋 亮介さん(2021年6月取材)

国際教養学部4年生の宮嶋さんに、国際教養学部を志望したきっかけや、印象に残っている授業、留学のことなどを聞いてみました。個性豊かで、多様なバックグラウンドをもつ人たちが集う国際教養学部で過ごす日々の様子を教えてくれました。

 

・国際教養学部を志望されたきっかけを教えてください。

海外に足を運びつつ、広い視野で物事を考えられる人になりたかったからです。ずっと海外に行きたいとは思っていましたが、高校まではテストや部活など目の前にやってきたものをこなしていくことが多く、視野が狭かったので大学では広く世界の視点で主体的に物事を考えられるようになりたかったからです。

・実際に入学して、いかがでしたか?

毎日楽しいですね。学部の先生も学生も個性豊かな人ばかりで、価値観や専門も多様で、国際経済学を専門にされる教授がいれば言語学を専門にされている教授もいます。だからこそ授業も広く履修することができますし、一見関係のないような授業と授業がつながることもあります。

授業規模に関わらずディスカッションする機会も非常に多くあり、個の多様性から毎回新たな学びを得られています。また、国際教養学部の授業では基本的に正解がないことが多いです。国際教養学部の取り扱う内容はSDGsなどの変化の激しいグローバル時代でまさに今起きている事柄です。

 

例えば基礎演習という授業で次の問いがありました。「スウェーデンは国民皆保険です。では、あなたがスウェーデン国民で税金を支払っている立場であるとき、スウェーデンで働く外国人労働者に対してもスウェーデン人と同じ福利厚生を公費から賄うことに賛成か、反対か」正直ぱっと答えが出る問いではないですよね。賛成反対どちらも正解だと思います。ただ、そこには経済、人権などの様々な要因が絡みます。そしてこの状況を取り巻く環境は毎日変化し、それゆえに昨日正解だったことが一週間後に正解でなくなることだってあります。不確実で正解がないからこそ、授業外でももっと勉強したいと探求心を持つことができますし、この正解のない問いを様々な視点から思考することがこれからの時代に必要とされているのではないかと考えています。

・受講された講義やゼミでの学びなどから、興味深かったことや頑張ったことを教えてください。

鹿野先生※1の授業は内容も形式も特徴的でした。

株式会社楽天の社内公用語を英語にしたことによって起きた社内の変化について、英語の論文を読みながら英語でディスカッションしました。楽天は国内外に外国籍の社員を多く持つグローバル企業です。そんな楽天があるとき、英語を社内公用語にすることを決めました。楽天は日本の会社であり文化的には日本、しかし社内の言語はすべて英語です。日本の会社であり、これまで優位に仕事をしていた日本人社員はもちろん反発。一方で歓迎する英語を第一言語とする社員。でもこの両者よりすぐ環境に慣れたのは日本人でもなく、英語が第一言語でもない、ヨーロッパの社員でした。ここに言語は単なるコミュニケーションツールであるだけではなく、これまでの人々の優位関係をも変えることができるものなのだと考えました。

 

さらに、この講義はNU-COIL授業※2でもあったため、アメリカのノースジョージア大学の学生と同じ論文を読み、リアルタイムでディスカッションを行いました。                                             アメリカの学生とは授業外もLINEでつながっており、Zoomで集まってプライベートの話、アメリカ大統領選挙の話などで盛り上がりました。実際に海外に行くことができなくても南山大学にはNU-COILのように海外の学生と交流できる機会は多くあります。

※1鹿野緑先生:国際教養学部教授。専門は、バイリンガリズム、言語獲得、第二言語リテラシー、翻訳学。

南山の先生 https://www.nanzan-u.ac.jp/nanzan_faculty/fog/gg/012399.html

※2 NU-COIL:通称コイル授業。海外の学生とオンラインツールを通してやり取りをしたり、一つのプロジェクトに取り組んだりする南山大学ならではのプログラム。https://office.nanzan-u.ac.jp/nu-coil/

・南山大学に入学して良かった!と思うことを教えてください。

クォーター制と留学制度ですね。

南山大学では1年を4回に分けて授業が行われ、成績が付きます。1年が4回に分かれることでテストやレポートを書く回数も増えますがその分一回の範囲は狭いのでテスト前に慌てて3か月前にやったことを思い出す、なんていうことはほとんどありません。

なによりクォーター制を導入した事による留学のしやすさが南山大学の良さだと思います。国際教養学部では基本的に第2クォーターにあたる6月と7月は必修の授業がありません。そのため、この期間に学部の短期留学やフィールドワークに参加することができます。留学というと卒業単位に影響が出て卒業時期に差が出ることを懸念される方もいらっしゃると思いますが、この第2クォーター内に収まる留学に関してその心配はありません。留学の種類も2週間と短いものから、1年といった長いものまで多岐にわたりますし、各学部に短期留学プログラムが用意されていますので留学を考えている方にはおすすめです。

 

・海外留学について思い出や印象に残っていることを教えてください。

大学2年生の時、アリゾナ州立大学へ2ヵ月間の留学をしました。一番楽しかったのは現地の学生とご飯に行ったりゲームをしたりと交流したことですね。僕が行った時期はちょうどアメリカの学生にとっては夏休みでした。そのため帰省している人がほとんどでしたが、南山の学生と交流したい、と何人かの現地の学生と交流する機会がありました。お互いの国のこと、早口言葉、ご飯を食べる、ゲームをするなど、留学で初めて会ったとは思わないくらい楽しかったです。

 

・留学したことで得られたことはありますか?

ありがちですが、視野が広がりました。僕はこれまで日本を出たことがなくて、日本人との関わりがほとんどでした。だからこそ一度日本を出て、外から日本を見ることでこれまで持っていた自分の当たり前をなくしたかったのです。そこで授業とは別に個人プロジェクトとして現地の学生に対して日本に関するイメージ調査を行いました。そこで明らかになったのは日本には外国人差別があるということでした。たしかにニュースでは外国人労働者の過酷な労働問題などが報じられていましたが、正直それを知っていながらどこか他人事に感じてしまっていました。ですが今回のことをきっかけに日本人として申し訳ない気持ちに変わりました。これは現地で、現地の人に調査していなければ僕の気持ちは他人事のままで変わっていなかったと思います。海外で僕が外国人となったからこそ、日本にいる外国人の問題も見方が変わりました。日本人としてではなく、「1人の地球人」として生きていきたいと思うようになりました。

 

・将来のビジョン、夢をお教えください。

「世の中から差別をなくしたい。」

なぜ人は人を差別するのでしょう。差別によって人は自分の個性をコンプレックスにとらえる、また本当の気持ちを隠してしまうことも考えられます。この差別は相手を正しく知らない偏見から生まれ、偏見は関わりがないことから生まれます。この上で、僕は日本人とロシア人、日本人とエジプト人など異なる文化的背景を持つ人と人が共に出会い、協働できる場をビジネスとして作りたいと思っています。今はまだこれ以上の答えは出ていませんが、1人1人に向き合い、自らが多様性を受け入れることのできる人になればいつか必ずできると信じて日々勉強しています。

 
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