南山生

日本とアメリカの職場環境の違いについて

総合政策学部 総合政策学科 2年
久太 才譲さん(2020年11月取材)

オンラインを活用して海外の学生と授業内外で協働プロジェクトや意見交換を行うCOIL型授業に加え、海外留学や企業インターンシップなどを組み合わせた南山大学ならではのプログラムである「NU-COIL」。
その中の「国際産官学PBL」科目に参加した学生が“文化・風習をよく知らない海外で働く際に心に留めておくこと”をテーマに、連携企業の社員の方々からの講義や海外の学生との話し合い、授業でのディスカッションや各自での調査を経た上で、感じたことを教えてくれました。

 

仕事に対するモチベーション

 海外で仕事をする際に、文化や異なる習慣等に衝撃を受けて不安になったり、人間関係がうまくいかなかったりして仕事へのモチベーションが低下することがあるでしょう。その時、どのように自分のモチベーションを維持させるかが大切になってきます。

 心理学では、モチベーションを2つに分けています。「人為的」な評価、報償、罰、強制等による「外発的モチベーション」と、個人的の興味や関心、上昇志向など精神的な要因による「内発的モチベーション」です。内発的モチベーションの方が永続的であり、ビジネスパーソンとしての成長にも寄与されるので理想的とされています。

 海外で仕事をするときに外国人とのコミュニケーションがうまくいかない、考え方が違う、友達ができない等の壁に直面することもあるでしょう。そういった時は、自分はなぜここにいるのか、何しにきたのかと自問自答し、自分がこの仕事をやり始めた「動機」を思い出すことで心を入れ替えましょう。初心に立ち返って自ら目標を掲げ、仕事から達成感を得ながら内発的モチベーションを維持させると良いでしょう。

ワークライフバランス

 アメリカと日本のワークライフバランスは異なります。アメリカでは家族や友人と過ごすプライベートの時間は非常に大切にされています。仕事の同僚との付き合いはありますが、社内のグループ全体として集まるなどのイベントはまれです。しかし日本では、慣習的に仕事を生活の中心に据えることが多いため、花見や飲み会といったイベントが職場外でのコミュニケーションの場として重要視されています。

 日本では最近になりようやく「ワークライフバランス」といった言葉が拡がりつつありますが、アメリカでは「ワークライフインテグレーション」が普及し始めています。ワークライフバランスは仕事とプライベートを切り分けて考えるのに対し、ワークライフインテグレーションは、境界線をなくし、もっと俯瞰的な視点から生き方を設計します。ノースジョージア大学の学生へのインタビューでも、「以前アメリカでは仕事とプライベートを切り分けて考えていましたが、現在は多文化共生等の関係で仕事と生活を柔軟に統合する事を重視し始めています。」との意見もありました。

 このように、日本とアメリカの間には沢山の違いがあります。異文化の中で生活する際に、お互いに理解し合うには、個人の価値観で「違い」をはねつけるのではなく、自分の考えを伝えた上で、一方的に正否をつけることなく素直に受け入れることが大切であると言えます。

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