南山生

真のグローバル人材を目指して

総合政策学部 総合政策学科 3年
石渡 真理さん(2019年11月取材)

オンラインを活用して海外の学生と授業内外で協働プロジェクトや意見交換を行うCOIL型授業に加え、海外留学や企業インターンシップなどを組み合わせた南山大学ならではのプログラムである「NU-COIL」。

その中の「国際産官学連携PBL」科目に参加した学生が“アメリカで働く際に心に留めておくべきこと”をテーマに、ディスカッションやグローバル企業への訪問などのプログラムを通じて感じたことを教えてくれました。

 

アメリカ企業のスピード感

 日本とアメリカのビジネス文化の中で、特に異なる点の一つが「意思決定のスピード」だと言えます。事前の根回しや事後の調整が重視され、グループ全体の合意に基づいて決断が下される傾向の強い日本の企業と比べ、アメリカの企業では「トップダウン式」と呼ばれる意思決定アプローチが取られる傾向があります。このアプローチにおいての決断は個人レベルで下される事例が多いため、物事が決定するまでのスビードが迅速になる、と言われています。また、アメリカ人にとってその日に決断されたことはあくまで「仮」であり、今後の状況に合わせて柔軟に変更されることがある、と認識しておくことも重要です。

 アメリカの企業で現地社員と働く場合には、上司の決断の速さに驚くことがあるかもしれません。ところがここで下された決断は最終決定ではなく、今後改定される余地がある、ということを想定して仕事を行うことで、心に余裕が持てるのではないでしようか。

こうしたトップダウン式の企業が成り立つ背景には、アメリカ人の多くが働く上で「成果主義」の考え方を持ち「個人プレイ」を好む傾向にある、という点が挙げられます。日本の企業で働く社員の方の多くは、団体責任を守り、チームや会社の業績のために戦い、自分の会社に対して誇りとプライドを持っているのではないでしょうか。ところがアメリカ人はというと、個人責任や利益に焦点を当て、個人の業績のために戦うことが多いようです。これは、仕事を行う上で彼らが、自分が担当する仕事にのみ注力し、設定したゴールに忠実であることを大切にする傾向が強い、ということです。

 これらの企業文化を踏まえたうえで、アメリカの企業で仕事を円滑に進めるためには、上司だけでなく、従業員1人1人に対して「リーダーシップ」や「決断力」といった個の力が求められていることを理解しておくことが推奨されます。

 

先入観には注意

 アメリカ人に対しては、自分自身の考えや意見を明確に分かりやすく伝える方が良い、と広く言われています。とはいえ、伝え方には注意が必要です。これはアメリカ人が何か指摘をする際には、やんわりと、間接的に伝えることを好む傾向にあるためです。例えば、彼らがネガティブなフィードバックを行う際には、まず初めに良かった点から伝え、相手の警戒心を解きます。その上で本当に伝えたい点を、さりげなく、柔らかい言葉を選んで伝え、最後に再び良かった点を褒め直します。こうした、ポジテイブな言葉でネガテイブな評価を包み込む形が、一般的とされているようです。

 異文化を理解し、尊重しようとする姿勢は大変重要ですが、「〇〇人だから」といった先人観は時として、私たちの判断を誤らせ、相手を傷つけることに繋がりかねません。

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