南山生

研究力の高さが国際的に認められ、筆頭著者として執筆した小論文がIEICE ComEXに見事採択!

理工学部 機械電子制御工学科 4年
林 伸悟さん(2022年3月取材)

“Stabilization of phantom fabrication by degassing using ultrasonic vibrations(超音波振動を用いた脱気によるファントム作製の安定化)”をテーマに小論文を執筆した林さん。その小論文が、電子情報通信学会(IEICE)が発行する通信分野の英文レター誌(ComEX)に見事採択されました。査読付き国際誌に学部生が筆頭著者として採択されるのは異例のことであり、林さんの研究能力の高さがうかがえます。
今回は林さんに、研究に取り組む中で試行錯誤したことやゼミでの研究指導体制、学生生活についてお話をしていただきました。

 

―まずは、林さんが取り組んでいる研究について教えてください。

スマートフォンやスマートウォッチに代表されるように、近年、人体の近くで小型無線通信デバイスを使用する機会がぐんと増えました。それに伴い、デバイスから発生する電磁波が人体にどのような影響を及ぼすのかを検証する必要性も高まっています。実際に人体を用いて検証することは難しいので、人体と等しい模型(ファントム)を用いるのですが、私はその模型の製造方法を新たに考えました。

 

林さんが作製したファントムモデル

―従来のものとは、どのような点が違うのですか?

従来のプロセスでは、模型を製造する際に気泡が混入してしまうことが多くありました。気泡は検証結果に影響を及ぼしてしまうので、できるだけ混入しないのが好ましいんです。そこで、超音波振動を使用することで気泡の混入を防ぐという、新たな製造方法を提案しています。より正確な検証結果が期待できることも、実験によって示すことができました。

 

顕微鏡を用いてファントムの断面を観察している様子

―この研究テーマに取り組むようになったのはなぜですか?

卒業研究のテーマを決める時に、指導教員である藤井勝之先生にアドバイスをいただいたことがきっかけです。もともと材料系のテーマに興味があって、そのことを先生に伝えたところ、本研究分野について教えていただきました。そこから自分なりに調べてみて、まだまだ未知の部分も大きく、将来性のある領域だと知って興味を持つようになったんです。

研究を始めたのが大学3年生の10月で、求めていた実験結果が出たのが4年生の秋頃―約1年かかりました。早くから研究に取り組むことで、十分な時間をとることができたのもよかったのかな、と。

 

電気定数を測定している様子

 

ファントムの電気定数を測定し、その結果をまとめている様子

―今回の採択にいたった経緯を教えてください。

周りの勧めもありましたが、「せっかくこれだけ頑張ったのだから」という想いで自ら投稿しました。実は12月に1度チャレンジして却下(リジェクト)されているんです。その時のフィードバックを参考に執筆し直したものを2月に再度投稿して、無事採択されました。メールで結果が届いた時は、とてもうれしかったですね。オンラインで開催された国際学会で、各国の研究者相手に発表するなど、貴重な経験もさせていただきました。

―研究していく中で、特に大変だった部分は何ですか?

評価方法です。私が提案する新たな製造方法の有効性を示すのに苦労しました。実験手順自体はとても簡単なのですが、得られた結果と自分が求めているものを比較した時になかなか思うようにいかなくて…。先生や先輩方のアドバイスを参考にしながら試行錯誤し、なんとかクリアすることができました。

 

薬品を調合し、鍋に入れて加熱・撹拌している様子

―周囲からのアドバイスが大きな助けになったんですね。

はい!周りの人たちに指導やアドバイスをいただいたおかげで、こうして小論文が採択されたのだと考えています。

ゼミでの授業はもちろん、研究室に行けば誰かしらいるので、そこでアドバイスをもらったり、コミュニケーションツールを用いて、先生と密に意見交換したり…相談しやすい環境が整っていたのは、本当にありがたかったです。

―南山大学への進学を決めた理由を教えてください。

国際性が豊かなところに魅力を感じました。いろいろな国の人と関わる機会を通して、多くの事を学びたいと思っていて。私はバドミントン部に所属しているんですが、練習に留学生の方が参加することもありましたし、大学内の国際センターで交流することもできました。あとは1年生の夏休みには短期留学も経験しましたね。できるだけ日本人のいない環境が良くて、アイルランドへ1か月ほど。慣れるまで1週間くらいは苦労しましたが、それ以降は友人との交流を楽しむことができました。休日を使って、友人とイギリスを縦断した電車旅行はいい思い出です。全部南山大学にいたからできた経験だと思っています。

 

語学学校での集合写真

―充実した大学生活だったんですね!最後に、将来のビジョンを教えてください。

卒業後は警察官になります。小さい頃から「人のために働きたい」とずっと思っていて、高校時代は「エンジニアとして人の役に立とう!」と考えて大学に進学しました。ただ、コロナ禍で様々な人が困っているのを見たり、DVや虐待の被害者のインタビューを読んだりする中で、「もっと直接的に人のために働きたい」という想いが強くなったんです。先生からは、熱心に大学院へ誘っていただいたんですが…(笑)。今はひたすら体力づくりと法律の勉強をしているところ。大学生活や研究室で学んだことを忘れずに、警察官として歩んでいきます。

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